満たされるために/セリーヌのバッグ/ひとり
満たされたい
常に満たされたくて、なるべく自分が満たされるためのことをしている
おめあては蓮實重彦の『映画はいかにして死ぬか 横断的映画史の試み』と『シネマの記憶装置』
ちょっとずつ揃えようと思ってるnobodyの2010年3月のやつを買った
ロメール特集だったから
駅の方に戻って喫茶店でホットコーヒーを飲んだ
うれしくなってストーリーにあげた
今日は映画を観て帰ろうと思っていたけれど、明日から4連休だしその間に観れるなと思ったのでちょっと喫茶店に長居してゆっくり本を読むことにした
修理に出していたお気に入りのセリーヌのバッグを取りに行った
最近はお金もないので人と会うのを控えてなるべくひとりでいるようにしている
ほんとうは毎日だって人といたい
わたしが映画を観たり本を読んだりするのは好きだからに変わりないけれど、人といないひとりの時間があまりにも多すぎるから
小さいときからひとりだった
親は共働きだったし、学校でもだいたいひとりだった気がする
別にいじめられたり友達がいなかった訳でもないのにわたしはずっとひとりだったから、学校の行き帰りも本を読んで歩いた
でもあるときわたしはひとりじゃなくなった
17歳の夏の終わり、8月27日
名前が同じだねと言われて放課後に会うことになった
ファミレスに行っておしゃべりをして公園に行ったとき付き合おうって言われて帰り際にキスされた
ひとりじゃなくなった気がしてうれしくてたまらなかった
でもそれは夢でぜんぶ消えた
消えたとき、授業中も休み時間にも泣いていたわたしを友達が抱きしめてくれた
その友達は、人を好きになってずるずる引きずる方がかっこいいみたいなことを言ったと思う
そのときからはじまったんだと思う
それからずっと恋することをやめられなくなった